盛岡市民文化ホールで開催されたマティアス・マイヤーホーファーさんの
パイプオルガンリサイタルについて紹介します。
マティアス・マイヤーホーファーさんについての簡単な紹介
一見、穏やかな紳士という印象ですが、素晴らしい経歴の持ち主です。
- 1979年、オーストリア、グラーツ生まれ。
- 大学でオルガンと教会音楽を学ぶ。
- 数々の国際コンクールで優秀な成績を修める。
- ソリストのほか通奏低音奏者、CDや出版活動に携わる。
- オルガニストのみならず音楽教授としても活躍。
- 2023年9月の第9回武蔵野市国際オルガンコンクールの審査委員を務める。
海外の方のパイプオルガンを聞くのは初めてです
今まで日本人の演奏しか聞いたことがありませんでしたが、今回本場の方が来日するという
ことで勉強のために聴きに行きました。
コンサート会場の盛岡市民文化ホールのパイプオルガンは北ドイツ様式なので、
その良さが生かせるような演奏をしたい
というようなことを仰っていたと思います。
演奏曲目の紹介
■ブクステフーデ トッカータニ調 BuxWV155
■F.トゥンダー 「来たれ精霊、主なる神」
■M.シルト 涙のパヴァーヌ
■M.ヴェックマン 第2旋法のマニフィカト
■J.Pスウェーリンク ファンタジア・クロマティカ
■J.S.バッハ トッカータとフーガニ短調BWV565
■J.S.バッハ コラール・パルティータ「おお神よ、汝いつくしみ深き神よ」BWV767
■J.S.バッハ 「最愛のイエス、われわれここに集いて」BMW730、BMW731
■J.S.バッハ パッサカリアBMW582
■アンコール 2曲
1曲目はブクステフーデの曲で快活でオープニングふさわしい曲です。
おそらくこれは音楽的に必要というよりは、楽しい演出だと思うのですが
最初の曲で星のカラカラ(ツィンベルシュテルン)鳥のピヨピヨ(ナイチンゲール)
の音がワクワク感を高めます。
前半はいろいろな作曲家の演奏。
休憩をはさんで後半はバッハの曲です。
後半1曲目はオルガンに興味がなくても大抵の人が知っている名曲
トッカータとフーガニ短調です。
芝居などで悲劇的な場面のBGMにぴったりのあの曲です。
BMW731はオルガンとバッハに興味のある人には知られた曲ではないかと思います。
ゆったりとしたテンポで心に癒しと安らぎを感じさせる良い曲です。
アンコールの曲は、うっかりしていて作曲者を聞き逃してしまったことが残念なのですが、
マイヤーホーファーさんの説明によると、1月から12月までをテーマに
作曲した方がいらして、その中から2曲8月と9月の曲を演奏。
8月が収穫、9月は狩りをテーマにした曲だとおっしゃってました。
9月の曲はピアノ曲で「狩りの歌」のようなタイトルで、ヨーロッパで秋ごろに
周囲で角笛かの音がしていて、動物を狩る人が森に犬を連れて入って行く様子を
表現した曲がありますが、まさにあのような雰囲気の曲です。
パイプオルガンにはいろいろな音がある
私はたまたま機会に恵まれ、現在パイプオルガンを習っているのですが
今までパイプオルガンのことを深い興味をもって考えたことがなかったので
現在勉強中です。
オルガンについての良し悪しはまったく分かりませんし、
この芸術性について正確に伝えられる感受性も語彙もないのですが、
オルガンのいろいろな音が聞けて楽しかったです。
生のパイプオルガンを聞いたことのない方はオルガンの音というとホールに響き渡る荘厳で
華やかなハーモニーをイメージするのではないかと思います。
もちろんそのような音も出るのですが、ポーという可愛らしい笛のような音や
音楽というよりは、遊び心かと思うのですが星がくるくる回ってカシャカシャ音がする
仕掛けや鳥の鳴き声風な音もでます。
今回のコンサートでマイヤーホーファーさんはいろいろな音色で演奏されていたので
そこも見どころというか聴き所ではないかと思います。
勉強が深まれば、そこでこの音を使うのか、など感じるところもあるのでしょうが
私はまだまだ勉強不足です。
最後に、
パイプオルガンのコンサートに足を運ぶ人は私と違って音楽に造詣が深いとか、
バッハ大好きという方なのだろうかという素朴な疑問がありました。
個人的には一般のクラッシックコンサート参加者に比べてパイプオルガンの曲目を
知っていて足を運んでいる人は少ないのではという印象を受けました。
楽器の性質上、気楽にお目にかかれないというハンデがあるよう感じます。
地元にパイプオルガンがある方は機会がありましたら是非、足を運んでください。
独特の荘厳な雰囲気は一聴の価値がありますよ。